幼稚園と保育園、どっちに預けた方がいいの?
子育てする人の尽きない悩みだ。
この記事では、幼稚園と保育園の教育や保育内容の違いと、それぞれの出身者の親御さんの話を聞いた結果から見えた子どもの成長の違いを解説する。
目次
幼稚園と保育園の教育の違い
- 幼稚園は子供を教育するところ
- 保育園は子供を預かり面倒を見るところ
という意味でこの2つは一見、全然違うように見える。
でも現実は教育に関してはそんなに変わらない。
幼稚園と保育園の基本的な違いは以下の表の通りだ。
幼稚園 | 保育園 | |
---|---|---|
入園年齢 | 3~6歳(小学校入学まで) | 0歳~6歳(小学校入学まで) |
保育期間 | 9~14時頃まで(5時間) | 7時半~18時頃まで(8時間、延長可) |
延長保育 | 私立の9割、公立の半分くらいが延長保育可能で17時ごろまで | ほとんどの保育園で1~2時間の延長保育が可能。夜間保育や24時間保育が可能な保育園もあり |
長期休暇 | 小学校と同じで夏休み・冬休み・春休みがある | 特になく、カレンダー通りの休み |
保育料 | 私立は設置者、公立は自治体が設定 | 自治体が保護者の所得に応じて設定 |
給食 | 任意なのであるところないところあり | 義務なので必ずあり |
先生に必要な免許 | 幼稚園教諭免許 | 保育士免許 |
管轄 | 文部科学省 | 厚生労働省 |
法令 | 学校教育法 | 児童福祉法 |
※保育時間や延長保育時間は地域の自治体や園によって差がある。
幼稚園が小学校以降と同じ文部科学省の管轄で、幼児の教育と心身の発達を目的とした施設。
対して保育園は労働などで子供の面倒を十分に見れない保護者に代わって子供の保育を行い、健全な心身の発達をを目的とした施設。
基本的に保育園は共働きで子供の面倒が見れない保護者のための施設で、0歳から預けられるが、条件が厳しく誰でも入れるわけじゃない。
また両親の収入によって保育料が大きく変わる。
幼稚園は誰でも受け入れるが基本3歳から。
また幼稚園は公立と私立で費用に2倍近くの差がある。
また最近は認定こども園といって、幼稚園と保育園の両方の特徴をあわせもった施設も増えている。
認定こども園は保育園と違って両親が働いている・いないに関わらず子供を受け入れて教育と保育を一体にして提供する施設だ。
昔は幼稚園の方が教育がしっかりしていて、保育園はお金のない共働きの人が仕方なく預ける場所、というイメージがあった。
でも今では子供ができても共働きを続ける家庭が多くなり、保育園に子供を預けることがかなり一般的になった。
確かに幼稚園の方がカリキュラムがしっかりしているが、保育園も幼稚園に負けじと教育に力を入れ、今ではこと教育に関してはそこまで差がないと思う。
幼稚園と保育園の保育内容の違い
では実際、保育内容にはどのような違いがあるのか。
順番に見ていこう。
保育時間の長さの違い
もっとも大きな違いは保育時間の長さ。
幼稚園:9:00~14:00(4時間)
保育園:7:30~17:30(8~11時間)
先生の数の違い
幼稚園
幼稚園は1人の先生が35人までの1クラスを受け持つことができる。
保育園
それに対して保育園は0歳児なら3人まで、1,2歳児なら6人まで、3歳児なら20人まで、4,5歳児なら30人までを受け持てる。
したがって先生の1人当たりの人数少ない保育園の方が先生と子供の距離が近いと言える。
学年ごとの区別の仕方の違い
幼稚園
幼稚園は学年ごとにクラスが明確に分かれている。
したがって遊ぶ相手は同学年の同じクラスの子同士になる。
保育園
保育園は学年ごとに明確にクラス分けされていない。
保育園の子は学年やクラスの垣根なく、どんな子とも積極的に遊ぶ傾向がある。
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幼稚園と保育園、それぞれの出身者の成長の仕方の違い
子供の成長にもっとも影響を与えるのは親だが、その次の要因は幼稚園・保育園になるだろう。
では、幼稚園出身と保育園出身でどのような差が出るのかを見ていこう。
1. 躾(しつけ)
躾に関しては幼稚園児の方がしっかりしている。
幼稚園児は親との接触が多いだけでなく、友達の親や親戚などとの接触も多く、そういう場所で大人しくするよう躾がされてることが多い。
対して保育園児は保護者との接触時間が短いためか、あまり躾がされてない子が多く、よその家でも自由に振舞う子が多い。
なので幼稚園出身の子は小学校に上がっても大人しく授業を受けるが、保育園出身の子は授業中普通におしゃべりしだしたり、立ち上がったりする子が多い。
2.学力
子どもの学力についてはどちらとも言えないが、基礎学力という意味では幼稚園の方がしっかりしたカリキュラムが組まれてる分有利と思われる。
特に私立幼稚園は子どもの学習能力向上に力を入れている。
ただし、保育園も各園の特色によって教育に力を入れてるところもあるのでその限りではない。
保育園の子は親との接触時間が短く、1人で行動することが多い分幼稚園の子より自立している。
また、共働きの家庭は母親の学力が高い場合が多く、自然と子供の学力も高くなることが多い。
そのため基礎学力は幼稚園児の方が上だったとしても新しい物事を学ぶ学習能力は保育園児の方が高い傾向がある。
また、興味深いことに、幼稚園か保育園かは関係なく、子供の学力は一斉保育か自由保育かで差が出るというデータもある。
一斉保育は全員に同じことをさせたり、小学校で習うことの準備としてカリキュラムに沿った教育をしたりすること。
自由保育は自由遊びの時間が長く、子どもを主体として自発的にやりたことに取り組ませる教育スタイル。
意外だが子供の自主性を育てた方が結果的に学力が上がる傾向があるのだ。
これは日本だけでなく、韓国やベトナム、モンゴルでも同じ結果が出たというのだから面白い。
そう考えると学力面でもどちらかというと自由保育を中心に行う保育園の方が有利といえるだろう。
ただ幼稚園でも自由保育を行っているところはあるので探してみるといい。
3.コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は保育園出身の子供の方が伸びやすい。
幼稚園出身の子は仲間意識が強く、よそ者に対して壁を作る傾向がある。
対して保育園出身の子は誰とでも気兼ねなくしゃべる傾向がある。
これは各園での子供同士の遊び相手の違いが明確に出ていると思う。
保育園は学年関係なくどんな子とも遊ぶ場所なのでコミュニケーション力が上がりやすい。
クラス固定の幼稚園と比べて新しい友達を作る能力は確実に保育園出身の子供の方が高くなりやすいだろう。
また幼稚園の子は親の躾が厳しかったり、幼稚園での教育が厳しかったりで遠慮する子が多いのに対し、保育園の子は遠慮がないから恥ずかしがらずにしゃべりたいと思ったらしゃべれてしまうという面がある。
コミュニケーション能力という面では保育園児が幼稚園児に確実に勝るだろう。
4.環境の変化に対する適応能力
環境の変化に対する適応能力も保育園児の方が圧倒的に強い。
なぜかというと幼稚園児は親といる時間が長いため親がいないと不安になりがち。
対して保育園児は1人でいることが多いため、どこに行ってもやっていけてしまう。
概して幼稚園児より保育園児の方がたくましい傾向がある。
また幼児に習い事をさせる割合が幼稚園は70%ほど、保育園は40%ほどと、幼稚園の子供の方が習い事をしている割合が多い。
習い事は幼稚園や保育園とは別のコミュニティになるので環境の変化に対応する能力やコミュニケーション力をつけるのにいいだろう。
5. 自主性、積極性
自主性や積極性も保育園児の方が強い。
なぜなら幼稚園児は大人の顔色をうかがって行動することが多いのに対し、保育園児は大胆不敵に行動するからだ。
これは基本的には親の影響が大きい部分だが、幼稚園の教育が協調性重視な傾向があること、保育園の教育が割と自由なこととも関係あると思う。
幼稚園に限らず小中高の学校教育が協調性重視しすぎて子供の個性が育たないとはよく言われることだが。
6. 協調性
自主性とは逆に協調性は幼稚園児の圧勝だと思う。
幼稚園では運動会や餅つき大会など、みんなで一生に何かをやるイベントが多い。
そういったイベントに限らずクラス固定でみんなで一緒に折り紙なり、ゲームなりをすることが多いので必然的に協調性が身に付く。
幼稚園か保育園か、いつまでに決めなきゃいけないの?
幼稚園か保育園化を決めるタイミングは秋ごろです。
幼稚園は夏ごろに説明会があって9~10月に願書が配布され、11月から願書の受付が開始され、翌年の4月に入園するのが基本です。
幼稚園 | 保育園 | |
---|---|---|
入園時期 | 基本4月 | いつでも可能 |
説明会 | 夏ごろ | 5~9月 |
願書(申請書)の配布 | 9~10月 | 10月 |
願書(申請書)の提出 | 11月 | 10~12月 |
内定(選考結果の発表) | 11~12月 | 1~2月 |
管轄 | 文部科学省 | 厚生労働省 |
法令 | 学校教育法 | 児童福祉法 |
幼稚園の選考は書類と面接によって選考される場合と先着順の場合がある。
保育園の場合は両親の労働状況などからより困っている家庭を優先して選考する。
まずは夏ごろに行われる園の説明会に出向き、園の雰囲気や教育方針などをリサーチしに行くといい。
まとめ
- 幼稚園と保育園では保育時間や学年クラスでの遊び方に違いがある
- 幼稚園の子は躾が厳しく、よく言えばお行儀がいいが、悪く言えば人の顔色をうかがい、人見知りする傾向がある
- 保育園の子は伸び伸びとしていて誰とでもしゃべる積極性があるが、躾があまりされてない傾向がある
幼稚園と保育園にはそれぞれメリット・デメリットがあり、それぞれ出身の子供の成長の仕方の傾向に違いがある。
もちろんあくまで傾向なのであなたのお子さんがどう育つかは育ってみないとわからない。
いずれにせよ、この情報が幼稚園か保育園どちらを選ぶべきかの参考になれば幸いだ。
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